2.暑

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「 教授、すいませんが …彼を追っ払って頂けませんか? 」 恭介は眉間に皺を寄せて うんざりと言う表情を浮かべ 吉鷹にお願いをする。 「えぇ! イヤだよ〜! 」 「 教授! お願いします! 」 「だって、彼 可愛いからさ〜、今日も安斎くんを連れてきてあげる約束しちゃったし〜 もう、 いいじゃん! 可愛い子なんだから、会ってあげたって いいじゃん!」 唇を尖らせて駄々っ子のように恭介に反抗する 吉鷹。 吉鷹本人は可愛いと思ってしている表情だろうが、一般のおっさんがこんなことをしてたら、一発殴っていると恭介は思った。 「彼が ブスなら僕だって 一瞬で断るんだけど、“可愛い子は、ちやほやする”って言う吉鷹家の家訓があってさ! だから、会ってあげてよ〜!」 ( なんだ、その腐った家訓は… )と心の中で悪態をつきながら恭介は立ち上がると「 分かりました! 」と語尾を強めに言いながら 医局を出た。(教授の命令は絶対) 恭介は毎日毎日 やってくるomegaの青年に正直うんざりしていた。 ーーーーーーーー 『あの、私の番になってくれませんか? 』 『 ……はっ!? 』 ( つがい!? え? この人はあの時倒れていた人だよな!? ) 栗毛のくるくるした癖の強い髪に白い顔、大きな瞳の上には長い睫毛が存在し、倒れた時に付けていたネックガードは今彼の首に装着されてはなかった。 恭介は自分に投げかけられた言葉と、目の前の人がホームで倒れていた人いう二重の驚きにより、瞳孔が開く。 しかし、恭介の驚きを気にせずに 青年は言葉を続けた。 『たぶん 私たち、“魂の番” なんです。』 『 たましい の つがい? 』 恭介は 運命の糸で 繋がった alpha と omega を“魂の番” と述べることは 知っていた。 しかし、“運命” と言うドラマの台詞で出てくるような 不確実なもの信じる者など 阿呆(あほう)と思っていた。 だから瞬時に彼の中で、 ( この人は おかしい人 )と目の前にいる 栗毛の天パの人間にラベルを貼り付けた。 ( 髪の毛もポワポワだから、脳みそもポワポワしてるんだろ… )
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