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「 教授、すいませんが …彼を追っ払って頂けませんか? 」
恭介は眉間に皺を寄せて うんざりと言う表情を浮かべ 吉鷹にお願いをする。
「えぇ! イヤだよ〜! 」
「 教授! お願いします! 」
「だって、彼 可愛いからさ〜、今日も安斎くんを連れてきてあげる約束しちゃったし〜
もう、 いいじゃん! 可愛い子なんだから、会ってあげたって いいじゃん!」
唇を尖らせて駄々っ子のように恭介に反抗する 吉鷹。
吉鷹本人は可愛いと思ってしている表情だろうが、一般のおっさんがこんなことをしてたら、一発殴っていると恭介は思った。
「彼が ブスなら僕だって 一瞬で断るんだけど、“可愛い子は、ちやほやする”って言う吉鷹家の家訓があってさ! だから、会ってあげてよ〜!」
( なんだ、その腐った家訓は… )と心の中で悪態をつきながら恭介は立ち上がると「 分かりました! 」と語尾を強めに言いながら 医局を出た。(教授の命令は絶対)
恭介は毎日毎日 やってくるomegaの青年に正直うんざりしていた。
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『あの、私の番になってくれませんか? 』
『 ……はっ!? 』
( つがい!? え? この人はあの時倒れていた人だよな!? )
栗毛のくるくるした癖の強い髪に白い顔、大きな瞳の上には長い睫毛が存在し、倒れた時に付けていたネックガードは今彼の首に装着されてはなかった。
恭介は自分に投げかけられた言葉と、目の前の人がホームで倒れていた人いう二重の驚きにより、瞳孔が開く。
しかし、恭介の驚きを気にせずに 青年は言葉を続けた。
『たぶん 私たち、“魂の番” なんです。』
『 たましい の つがい? 』
恭介は 運命の糸で 繋がった alpha と omega を“魂の番” と述べることは 知っていた。
しかし、“運命” と言うドラマの台詞で出てくるような 不確実なもの信じる者など 阿呆と思っていた。
だから瞬時に彼の中で、
( この人は おかしい人 )と目の前にいる 栗毛の天パの人間にラベルを貼り付けた。
( 髪の毛もポワポワだから、脳みそもポワポワしてるんだろ… )
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