2.暑

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しかし、彼の様子がなんだかおかしい。 壁に向かって右往左往しており、「ポンっ!」と手掌を壁へ押し当てると拳を握って振り返った。 「あ、安斎先生、おはようございます!」 「 おはようございます 」 挨拶をしながら 恭介は千尋の拳に目線をやった。 「安斎先生、すいません。 窓を開けて貰えないですか?」 「 ん? どうした? 」 「蜘蛛を捕まえたんです!」 「 えっ! 」 それを聞くと、恭介は 急ぎ窓を開ける。 窓の外に手を出して、手のひらを広げると5mm程度の黒くて、白い点が2ついた蜘蛛が ピョンっと飛び出し、逃げていった。 「朝蜘蛛は縁起がいいって言いますから、外に逃がせて良かったです」 千尋はホッとした顔で手を窓から引くと 恭介を微笑み見つめ そう述べた。 「 じゃあ、朝以外に出てきた蜘蛛は殺すの? 」 「え…」 恭介の意地悪な質問に、千尋の笑顔は 戸惑った表情になって、困ったように微笑んだ。 「きっと、いつ出てきても同じようにしてます。」 その答えに対して、恭介は 「ふっ」と鼻で笑った。 「 佐々木さん、手を洗わないと。 付いてきて… 」 「あ、 は、はい!」
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