2.暑

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ーーガチャ… 恭介は 手を洗わせるべく脳外科の医局に千尋を入れた。 「し、失礼します…」 キョロキョロとしながら両肩を寄せて小さくなり入ってくる千尋。 ソファーで寝そべって書類に目をやっていた 吉鷹は慌てて起き上がった。 「千尋ちゃん、どうした〜?」 吉鷹の、答えに 千尋ではなく恭介が答える。 「 若干ですが、手が汚れている可能性がありますので、洗わせます 」 「あ、そうなの〜どうぞどうぞ〜」 千尋は微笑みながら吉鷹に頭を下げた。 「ありがとうございます。」 「いえいえ〜」 吉鷹は書類を左右に振って千尋に腑抜けた笑顔を飛ばした。 「 佐々木さん、ここで手を洗って 」 恭介はが給湯室を案内すると、千尋は 蛇口をひねり水で手を流す。 「 佐々木さんは、虫とかを結構素手でいけるタイプ? 」 「えぇ? あ、そうですね、一応男ですから。」 なんでそんな質問をするのだろうと不思議そうな表情で千尋は話す。 すると恭介は ソファーに座り側腹部をボリボリと掻く吉鷹に目をやりコソッと告げた。 「 男とか関係ないよ。 教授は 虫とか全然ダメだし 」 「そ、そうなんですか?」 「 この間とか、アリが、一匹いただけで騒いでたから 」 「アリでですか? それは大変ですね…」
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