4.燥

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pm14:30 日曜日 「安斎さん、これ見事だと思いませんか?」 「 え? あぁー そうですね、 」 「ここの縁なんか、こんな薄さに見事な円形で…」 恭介は、現在 お見合い相手の女性と博物館へ足を運んでいた。 彼らの目の前には白い陶磁器で出来た器が並んでいる。 女性の名は藤村 睦子 。プロカメラマンである。 髪型はボブカットでさばさばしており、家庭的と言うよりは仕事に生きる女性のようである。 睦子は芸術全般に興味があり、博物館にある作品を熱心に見つめている。 しかし、恭介の方は心ここに在らずの状態で、時折欠伸を隠すよう口元に手をやっていた。 何故こんな様子の恭介かと言うと、千尋が姿を消してから 変な夢 を見るようになったのだ。
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