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『…先生っ、安斎先生……』
どうした!?
『く、苦しい… 助け て、』
佐々木さん、どうした? 大丈夫か?!
佐々木さん、佐々木さん……!!
「……千尋っ!!」
自らの叫び声で、恭介は目を覚ます。
動悸が酷く、呼吸も荒いことに恭介は驚いた。
呼吸を整え、枕元に置いている時計に手を伸ばし時刻を確認すると午前4時前。
( また だ… )
恭介が見た夢の内容は、千尋が再び苦しみ倒れている状況であり、次こそは死んでしまうと思えるほどリアルな映像であった。
恭介はこんな夢を、ほぼ毎日 見るようになった。
それはまるで 千尋から呪いをかけられているのではないかと思えてしまう程であった。
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「……安斎さん、 大丈夫ですか?」
恭介は睦子から声をかけられた。
二人は博物館のレストランで食事を取っていたが、恭介が空を見つめたまま固まっており、睦子はどうして良いのか困っていたのだ。
「 すいません、最近 睡眠不足が続いてて… 」
「そうなんですね。お忙しいのにお付き合いさせてしまい申し訳ないです。」
「 いえ、こちらこそ 集中出来てなくて すいません 」
恭介が頭を下げると、睦子は優しく微笑んだ。
「今日はゆっくり眠れると良いですね。」
「 ……はい、本当にそう思います。 」
恭介は彼女の微笑みに、安堵の気持ちを感じ 小さく笑顔を返すのであった。
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