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pm13:00 食堂
「ーーこんにちは」
「 こんにちは 」
恭介に声をかけるのは、友人である慎也。
“カタン”とトレイをテーブルに置いて恭介の隣に座ると慎也はコーヒーを飲み、ため息をついた。
「 どうした? やけに疲れてるな… 」
いつも涼しげなキツネ顔の男が心配になり、恭介は声をかける。
すると、慎也から意外な言葉が返ってきた。
「ーー恭介くん、あの omega の子、その後知っていますか?」
急に出てきた“omega”と言う単語に、恭介は「ゴホっ!」と咽せ、食べていた親子丼の米が一粒 テーブルに飛んでいった。
「ーー汚いですねぇ。」と言いながらペーパーを取り恭介に手渡す慎也。
彼は慎也を睨みつけながら奪うように瞬時にペーパーを取り、口元を拭いた。
「 ……知らない、 俺には関係ないことだろう? 」
「ーーそうですか……」
そう述べた慎也の表情は、陰りを見せていつも細くて見えていない瞳を片方開いて恭介を見つめる。
「ーー実は、先日 彼を見かけたのですよ。」
「 そうか、 それで元気そうだったか? 」
慎也の真剣な表情を気にする様子もなく、昼飯を咀嚼しながら恭介は質問をする。
「ーー元気……遠目ですから、そんなものは分かりませんが、
…彼 身を 売っている ようでした。」
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