僕と魔女の秘密のお茶会

2/20
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
僕と百合子さんは、かなり田舎の、山の奥で暮らしている。 僕が学校に行かなくなって少し経つけれど、百合子さんは、その事を全然責めてこない。 まわりの大人達のように、『元気になった? それなら学校に行きなさい』とか、『気の持ちようなんだから頑張りなさい』とかは言わず、この家に置いておいてくれる。 その代わりと言ってはなんだけれど、僕は百合子さんから家事をテッテイテキに教え込まれている。 「私は君の親ではないんだから、一緒の家に暮らすなら世話はしないよ、自分の事は勿論、一緒に暮らす私の分もちょっぴりやる位の気持ちで暮らしなさい」 なんてのが、百合子さんの持論と言うやつだ。 もちろん、僕もまだまだ家事を完璧に出来ている訳ではないし、百合子さんもそんなことは期待していない。僕が泥水みたいな濃さのお味噌汁を作っても、 「ま、そんなこともあるでしょう」 と言いながら平気な顔で飲んでしまうし、何だかんだと、一緒に洗濯物を畳んだり、二人並んで、鼻歌を歌いながら食器を洗ったりする。 僕は一人っ子でお母さんは専業主婦なので、家に居る間はやったことのない家事ばかりで、これはすごく新鮮な生活だ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!