1.鳴り出す私の音

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「ん………陸上、野球……バレー……」 中学ほどではないものの、前に人が立って何かしら話しているのを聞いているだけの長い入学式を終えて、教室に入ると知っている人たちが少しいる中でほとんどは初めましての人たち。 こういうことは失礼になるかもしれないが、見るからに真面目な先生ともうひとり資料らしき紙の山を持って来た先生が黒板の前に立つ。 やがて配られた何枚もの資料には『学校生活についての注意事項』『時間割』『一週間の予定』等々。 その中でも私が一番気になっているのは『部活動について』と書かれた紙であった。 文武両道のようなもの掲げているだけはあり、運動系には野球やテニス・水泳といった有名な部活、文化部は美術部から化学部や天文学部・茶道部までとやたら数多く存在した。 「とにかくなんでもいいから入っとけってことなんだろうな………」 しかし、私の中では入りたい部活動の目星はついていた。 音楽系の部活──。 一番興味があるのは軽音部だ。 華蓮にはまだ考えてないと言ったが、下手すれば反対される可能性があったことと驚かせたいという思いがあった。 中学の時は帰宅部で音楽になんてほとんど興味がなかった、私がいきなり軽音部に入ると言い出せば変に心配されそうな予感がしたからだ。 入ってからならば色々言えなくなるよねという強引な考えである。 まったく音楽のおの字もないような私が、なぜそこまで軽音楽部に興味を持ったのかというのは春休みに華蓮に誘われて行ったある『ライブ』が大きなきっかけだった──。
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