奏の契り ～音に捧げた青春の軌跡～

1.鳴り出す私の音

「……………」

その歌声、その1曲は私の全身に何か電撃のようなものを走らせた。

イヤホンで何かしら音楽を聞くことは少なくないがそれとはまるで違う迫力。感情が声という形となり心に響いてくることが感じられた。

この大きな衝撃は私から声と呼吸を忘れさせるほどで、その人の声と目が釘付けになってしまうほどの歌う姿に憧れを抱いた瞬間だった。

それだけではない。

彼女の声を支えるギターやベース、キーボードは声に対して邪魔をすることなくいや、彼女の声が負けていないと言った方がいいのかもしれないが美しく鳴り響いている。
ドラムの刻むリズムは、無意識のうちに太ももに手を打ち付けて乗ってしまうほどだ。

これらがつまった曲の数々はそれまで音楽というものに関心がなかった私を動かすには十分すぎるものだった。