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3.友経由の連鎖
土曜日という休日。
明日は日曜日でまた休みであり特に予定がなければのんびりと過ごせる学生にとって一週間の内の貴重な休日。
しかしのんびりという時間、好きなことができる時間というのはあっという間に過ぎてしまい日曜日という「明日は学校か、あと課題も」と思うだけで嫌になってしまうのがいつものパターン。
だが今週はそうではない。
「ちょっと話が」というメールの文面を見るだけで背筋が凍ってしまう。
「話ってなんだろう」
全くなんのことなのか、この時の私にはわからなかった。いや、わかっていたら逆におかしいのだろう。
華蓮のことだから「勝手に見学に来たなっ!」とか、「なんで声かけなかった!?」とかすぐに思い浮かぶのはそのくらいだ。
「あっ!?………あ??でも違うか」
そんな連想をしていたら、昨日の帰り一緒じゃなかったと言うことではないかというのを思い付いてしまった。
でもそんなことで怒るのだろうか?
「午後1か」
午後1時に学校集合と送られてきた。
午後までの時間が長いと感じるか短いと感じるかと言われると私の答えは「短い」。
あっという間に過ぎて行く午前中。
何のことなのか考えていても無駄に時間は過ぎていくのでとりあえず考えるのをやめたのでした。
「午後出掛けてくるからよろしく」
「はいはい、気を付けてね」
今日はほとんど雲のないいい天気であるため、母親は庭で草取りをしていたりしている。
玄関を開けてそう伝えた私は再び部屋へと戻ってゆく。
予定ということで何度も何度も時計の針を確認してはほっとする。
「どうしたの?思い詰めた顔して」
「ん?いや、別にそんなことないよ」
気にしないようにしても気にしてしまう。
食事すらもあまり通りがよくなかったのだ。
そしてやがて、
「それじゃ、いってきま~~す」
少し早めと思って家を出る私。
いつも通る学校への道であるが、太陽が最高点に達した時に歩くのは初めてで、教科書類すらも持たずに学校へ向かってるなんていうのは不思議な感覚。
本格的に部活に入ったらこんな感じなのであろう。
「……………」
校門にスマホを見ながら立つ人影はどうみても華蓮である。
「早いね。華蓮」
その時は訪れる──。
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