開封

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「まさか、七瀬、このために今日飲み会しようって言ったの」 「当たり前じゃない。まあ、そうじゃなくたって美玖と遊びたいと思ってたしね。一石二鳥だったね」 「くうっ、なんと愛おしいことか、七瀬ちゃん。このあとは二人でもっと深いところまで知り合おうぜ」 「エッチなのはいけないと思いますけど?」 「ちぇ」  七瀬と笑い合いながら、あたしはもらったプレゼントを一度ぎゅっと胸に抱いて「開けてみていい?」と訊いた。七瀬は満面の笑みで、だまって頷く。  いつもなら買ったものの包装紙などビリビリに破いてしまうけれど、七瀬からのプレゼントとなれば、話は別だった。ぶきっちょなりに、丁寧にぺりぺりとテープを剥がしながら、そっと包装紙を解く。  箱をゆっくりと開いてみた。 「……折りたたみ傘?」 「そうです」  七瀬は、ぴんと人差し指を立ててみせる。そんなところすらも絵になってしまう。誕生日プレゼントをもらっておいてこんなことを言うのも皮肉っぽいけど、やっぱりあたしはあんたに生まれたかったと思う。  店もそれほど混んでいなかったし、店員も近くをうろうろしていなかったので、あたしはカバーからそれを取り出して、開いてみた。夜空を思わせる青と黒のストライプに、たくさんの小さな星がちりばめられている。ただの黒とか青一色じゃないものを選んでくれたのが、いつもおしゃれな服を着ている七瀬らしかった。
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