12年越しの告白

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*** その後、彰浩から呼び出されたのは19時頃で、指定された場所は馴染みの居酒屋。 その名も『お洒落キッチン琥太郎』。 久しぶりに来たけれど、相変わらずお洒落さのカケラもないサラリーマンの憩いの社交場だ。 けれども、自家製のモツ煮込みが絶品で、来ると必ず3回は頼んでしまう。 店に入ると、既にカウンター席に座って、近くにいる店員と何やら話で盛り上がって様子の彰浩。 誰とでもすぐに打ち解けてしまう社交性が半端ない。 店員が俺に気づくと同時に、彰浩もこっちに気づいて手を振ってくる。 「大ちゃん!こっち!」 小さな店内に響き渡るほどの大きな声で、周囲の注目を浴びながら、その隣へと向かう。 「久しぶりだな!元気にしていたか?」 「ああ、それなりにね。今は時差ボケで死ぬほど眠いけど。」 「途中で寝たら、タクシーで送ってやるから安心しろよ。」 「まあ、俺の眠気は気にしなくて良いけど……週末にこんなところで飲んでいていいのか?」 「どうして?あ、彩夏のことか?」 .
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