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彰浩が口にする名前。
何を隠そう、彰浩は妻帯者だ。
相手は高校時代の同級生で、俺も当時から知っている。
その頃の彰浩は野球部で、マネージャーだった梅本さんにベタ惚れだった。
入部した頃から彼女の話題ばかりで、夏休み前にはちゃっかり付き合い始めていた。
それからずっと二人は一緒にいて、大学を卒業して少し経ってから結婚した。
「……彩夏のことなら平気だよ。今、実家に帰ってるから。」
「え……?それって……」
「修羅場じゃねえよ。何年一緒にいると思ってるんだ、もうすぐ15年だぞ!?」
確かに、この二人に関しては不要な心配だ。
何年経っても、変わらず仲が良いのは知っている。
本当にお互いを大切にしているのが伝わってくる関係だ。
そう納得しながら、待望のモツ煮込みと生ビールを注文していると、今までハイテンションだった彰浩は、急に素面に戻って静かに口を開いたく。
「実は……子供できたんだ。」
「えっ!?」
「先週、知ったんだ。まだ全然実感なくてさ。」
突然の報告に対して普通に驚いてしまったが、二人は結婚して長いし、俺たちはもう30だ。
むしろ今まで、そんな話が全く無かったことのほうが意外なのだ。
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