12年越しの告白

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. 「そうか……おめでとう。」 月並みな祝いの言葉に、彰浩は照れ臭そうに笑顔で応える。 「今、ちょうど悪阻がきついみたいでさ。俺は仕事で家にいないことも多いし、実家にいた方がお義母さんもいるし、あいつも安心だろうから。」 彼女の実家も、確か20分ほどで行ける距離のはずだ。 会いに行こうと思えば、いつだって会いに行くことができる。 彰浩なりの、彼女に対する気遣いなのだろう。 「なんだか、遠い異次元の話を聞いているみたいだ。」 「異次元って……まあ、大ちゃんが誰かと結婚して子供ができたっていうなら、それこそ超スペクタクル級な話だけどさ。」 「……確かに、俺もそう思う。」 そんな未来を全く想像できない。 一生独身を貫き通すと、心に誓っているわけもないけれど、今は全く予定がなければ相手もいない。 先日、恋人とは別れたばかりだ。 彼女とは長く付き合っていたけれど、結婚を考えたことは一度もない。 彼女の人生と向き合う程の気持ちが、俺にはなかった。 「俺は……まだ、今のままでいいかな。毎日それなりに充実しているし。」 彰浩と梅本さんのような関係が羨ましいと思うこともある。 俺にもそういう相手がいたならば、きっとまた違った人生を選ぶことが出来ただろう。 けれども今の自分に悔いは全くない、それも強がりではなく本心だ。 幸せの価値観なんて人それぞれなのだから、他人と比べる必要なんてない。 .
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