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「……サチコって……会津？」
久しぶりに口にした名前だった。
忘れていたわけではないし、忘れられるはずもない。
それは俺にとって………
「御名答。流石、惚れていただけのことはあるな。」
「……昔の話だろ。」
「俺にとっては高校時代の思い出の中で、いちばん驚いた事件だったぞ。」
「事件って……。」
俺にとって、初めて人を好きなる感情を覚えた相手。
あの頃の出来事なんて、忘れてしまったことの方が多いのに、彼女と話したことは記憶に残っている。
大切で、忘れ難い過去の思い出だ。
「大ちゃんも、サチコに会いたいだろ？」
「俺は別に……」
別に会いたくない、とは嘘でも言えなかった。
何かを期待しているわけではない。ただ、俺は………
「少しは興味持ったみたいだな。じゃあ参加ってことでいいか？」
「……分かった、空けておくよ。」
二つ返事で了承した。
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