12年越しの告白

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*** 翌日、俺はとある場所に立っていた。 そこはジュエリーブランド「Beaucoup d`amour」の東京オフィス。 とはいっても、まだ中は真新しくて、隅には空いていない段ボールが幾つか残っている。今日はこの片付けをし来たのだ。 「Beaucoup d`amour」、通称「ダムール」はパリが発祥のブランド。 世界的に有名な高級ブランドとは雲泥の差である知名度だが、地元では割と人気が高くて、頻繁に雑誌に取り上げられたりしている。 職人の手作りによる、他にはない一点モノに拘りがあり、原石を加工した宝石があしらわれている。 俺は縁があって、大学卒業後はパリのオフィスで働き始めた。 職人にも憧れたが、それ以上にデザイナーという仕事に魅力を感じて、そして今に至る。 中に入ると隣の部屋から物音がして、見慣れた姿が登場した。 後輩にあたる可児君だ。 「大樹さん!久しぶりです!」 「久しぶりって……1週間ぶりくらいじゃない?」 近々東京に店を構えることになり、このオフィスが立ち上げられ、同じくデザイナーとして転職してきた彼。 先日まで2週間ほどパリで研修をし終えたところだ。 .
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