12年越しの告白

23/36
7495人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
. 「そういや、彰浩たちまだ来ていないよな?」 「さっき電話した時、少し遅れるかもって言ってたけど……」 時間になり、参加者は続々と集まってくるが、肝心の彰浩たちはまだ到着していない。 まあ、各々が既に盛り上がりつつあるので、誰も幹事の遅刻を気にしている様子はないのだが。 俺もそのうちの一人だ。 「あ……来たんじゃね?」 そう言って、いち早く気づいた須永は、店の入り口へと近づいていく。 俺はその場に留まり、他の友人達とたわいもない話を続けていた。 しかし、須永の大きな声がそれを妨げる。 「仁科夫妻と、会津番長の登場だな!」 思わず反応して視線を向けてしまった。 だって、気にならないはずがない。 かつて好きだった相手が、12年の時を経てどう変わってしまったのか。 名前を呼ばれて、彰浩の背後から登場した会津。 久し振りに見る彼女は、昔の面影を残しつつも、凄く綺麗になっていた。 そう感じてしまうのは、淡い初恋の相手だというフィルターを通しているせいかもしれないが。 俺はというと、昔と同じように遠巻きに、彼女を静かに見つめているだけだ。 .
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!