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これで今日の予定は無事に終了だ。
今夜は遅くから雨が降ると予報に出ているから、帰ったら洗濯物を取り入れないと……。
そんな所帯染みたことを考えていると、死角から急に誰かが現れ、すれ違いざまに肩が触れ合う。
ドンっと軽い衝撃を受け、相手が覚束なく足元をふらつかせたので、反射的にその腕をぐっと掴んだ。
「ごめん、大丈夫……?」
とても華奢な腕だ。
渾身の力を込めて思いきり掴んだら、折れてしまうんじゃないかって程の。
それは、会津の腕だった。
目の前に、会津がいる。
至近距離で見る彼女の姿に一瞬ドキッと心臓が高鳴るが、そんな余韻に浸る間も無く、予想外の展開が巻き起こる。
「……吐く。」
「えっ!? ちょ……」
「おえ…っつ。」
会話が成立する前に、会津はその場でリバースし始める。
幸いと言うべきなのか、俺の上着がその全てを完全に受け止めた。
「おい……会津、大丈夫か!?」
俺の問いかけに返事はない。
余程気分が悪いのか、その場に座り込んでしまった。
支えていなければ倒れてしまいそうで、放っておくことも出来ない。
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