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「大ちゃん、どうした……ってサチコ!? 」
彰浩が俺たちに気づいて近づいてくると、すぐに状況を把握したのか唖然としている。
俺は会津を支えていて身動きが取れないので、代わりに彰浩に用事を頼む。
「濡れたタオルと水、持ってきてくれないか? おしぼりもあれば助かる。」
「分かった……って、大ちゃんも服、エライことになってるけど……」
「俺は大丈夫だから。」
確かに、上着は取り返しのつかないことになっている。
けれども、そんなことは別にどうだっていい。
彰浩が戻ってくるまでの間、騒ぎにならないようにと、他の皆には気づかれないように会津をソファーへと連れて行く。
彼女は千鳥足でふらふらしながらも、何とか辿り着いた途端に、そこへ倒れ込んだ。
「おい、大丈夫か!?」
「……。」
返事はなかったが、今度は静かな寝息が聞こえてくる。
もしかして、この一瞬で寝てしまったのだろうか……。
「会津、寝てんの?」
「……。」
どうやらマジ寝のようだ。
微かに赤みのさした頬にそっと触れてみるが、ビクともしない。
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