12年越しの告白

28/36
前へ
/393ページ
次へ
. 「あれ? サチコ、まさかの睡眠?」 「そのまさかだよ。」 「全く、人騒がせなサチコのやつ……余計な心配して損したよ。」 目の前には、ソファーに横たわる会津の姿。 彰浩が持ってきてくれた濡れたハンカチを、彼女の額の上に乗せる。 「大ちゃん、帰るところだったよな。代わろうか?」 「いや……もう少し、ここにいるよ。」 何故か、離れ難かった。 彼女のことが心配だったのもあるが、それだけではない。 これが違う相手だったなら、俺は彰浩に全てを託して帰っていただろう。 ただ、もう少しだけ……こうしていたかった。 「……じゃあ、サチコの面倒は頼んだぞ。」 「分かったよ。」 「ちなみにこいつ独身彼氏なしだから、お持ち帰りしても問題ないぞ。」 「……また吐かれても困るから、それは遠慮しておくよ。」 そう答えると、彰浩はフッと笑いを零し、小さく手を振りながらその場を離れていった。 ていうか、彼氏居ないんだ……。 昔と変わらず苗字で呼ばれているのを聞いて、まだ結婚はしていないのだろうと予想はしていたけれど。 いやいや、別に彼女に手を出すつもりで、面倒役を買って出たわけではない。 俺はあくまでも善意として……。 .
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7537人が本棚に入れています
本棚に追加