12年越しの告白

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. 今までそれなりに恋人と呼べる相手は居たし、最近まで付き合っていた彼女とは別れて間もない。 会津は自分から好きになった相手で、唯一想いを告げられなかった忘れ難い人。 さっきから落ち着かない気持ちは、ただそれだけの理由のはずなのに。 「その顔……あの頃は、いつもすぐ傍にあったのにな。」 「……新居?」 自分が思っている以上に、会津のことが好きだったことを痛感する。 僅かの間、側にいるだけでも切ないくらいに胸が痛くなるから、顔を上げて冷たい空気を思い切り吸い込む。 痛みが少しでも麻痺するように。 「なあ……会津。」 「ん?」 「あのさ……彰浩に聞いたんだけど、お前ってまだ独身なの?」 訊きたいことは他にもあったのに、どうしてその問いかけを選んでしまったのか。 彰浩から聞いた確実な情報なのに、今更彼女の口から言わせる必要などない。 案の定、彼女は少し困ったように笑いながら応えてくれる。 「新居までそんなこと言うの? やめてよー。」 「あ、ごめん。そうじゃなくて……」 「別にいいんだけどね。予定もなければ相手もいない感じかな。」 でも、俺は彼女の口から聞きたかったのかもしれない。 こうして12年ぶりに再会できたことを、偶然で終わらせたくなかったのかもしれない。 こんな風にまた笑い合えるなんて、夢にも思わなかったから。 .
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