12年越しの告白

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. 数日も経てば、この瞬間のことを彼女は思い出さなくなる。 その一方で俺は、彼女のことを思い出すだろう。 懐かしき初恋に火がついただけで、所詮は過去の想いを錯覚している一時的な感情なのかもしれない。 安易に踏み出せないのは、迷いがある証拠だ。 「新居……?」 柔らかい声が、俺の名前を呼ぶ。 その横顔を、ずっと見つめていたくなる。 このまま、時間が止まればいいとさえ思ってしまう。 背中を押すのは過去の想いだとしても、前に進んでみようかと歩き出したのは今の自分だ。 こんなに近くにいるのに、手を伸ばせば触れられる位置にいるのに、何もせず変えられないまま終わりたくない。 「お前、あの約束覚えている?」 「約束?」 「ほら、卒業式で……。」 それは、遠い卒業式の日の記憶。 隣に座っていた彼女が不意に口にした言葉だけは、鮮明に脳裏に刻み込まれている。 すると、彼女も思い出したのが、両手をパチンと叩いて清々しい表情を浮かべる。 「卒業式……あっ、お祝いのこと? 思い出した! そうだね、お祝いしてあげるよ。」 ん、お祝い……? 俺は会津に、お祝いされるようなことを何かしただろうか……? 記憶が断片的なのは、俺も同じなのかもしれない。 .
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