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「嘘だっ!タイムマシーン借りてきてよ。」
「そんなもんないよ……。」
俺自身も焦ってしまったが、目の前でそれ以上に慌てふためく会津の姿を見て、徐々に余裕が出来てくる。
そして思わず、笑い声と共に本音が漏れる。
「会津って、やっぱ変わらないや……。昔からいつも俺のツボだもん。」
奇想天外な彼女の行動に、昔から何度も笑わされた。
今だって、大人な対応で受け流してくれても構わないのに、ドッキリのような反応を見せてくれる。
あの頃、彼女の言葉が俺を戸惑わせたように、今度は彼女が俺の言葉に戸惑えばいい。
小さな悪戯心を隠し込みながら、その様子を暫く見守っていると、彼女は急に動きを止める。
「ていうか、新居は……どうしてその約束を守りたいと思うの?」
核心に迫る質問に、俺は覚悟を決めていた。
結婚しようか……と、口にしてしまった時から。
「……俺さ、高校の頃……好きだったんだよ。」
「え……?」
「会津のことが、ずっと好きだった……。」
真剣な目で俺を見つめる彼女を、誰にも渡したくない。
初めて芽生える独占欲。
今はその気持ちに、目を逸らさず向き合っていきたいと強く思った。
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