彼女と指輪

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彼女と指輪

. 俺と結婚しようか? 会津のことが、ずっと好きだった……。 その告白で大きく何かが変わるとは思えなかったけれど、伝えずにはいられなかった。 12年ぶりに再会した彼女に、当時と同じような感情を抱いたのは、紛れも無い事実だから。 そんなの無理! 有り得ない……。 俺はそう返事をされると覚悟してたし、腹は括っていた。しかし……… 「え……会津!?」 「ふぇ……?」 彼女の返事を聞く前に、突然視界に現れた赤色の液体。 それは彼女の鼻下を伝い、ポツンと地面へと落ちる。 「大丈夫か!? 鼻血出てるぞ!?」 「え……」 違和感があったのか、その言葉に鼻下を触れた指先を確認する。 指先は真っ赤に染まっていた。 その瞬間だった。 ふらっと貧血を起こしたように、彼女が足元を崩してしまったのは。 「おい、しっかりしろ!!会津!!」 「ほぇぇぇぇ……」 頬を熱で赤く染め、鼻下を鼻血で赤く染め、謎の奇声を発しながら目を回している。 酔いがまだ残っていたのか、それとも…… .
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