「黒」のち「白」

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「黒」のち「白」

 颯爽と来た道を駆けるその足取りは軽く、段を飛び越え公園のフェンスを潜り、自慢の近道を駆使した最短コースで母の居る自宅まで帰り着く祐真。 「お母さん、きんきゅうじたい!」 玄関を開け大急ぎで母の元へと駆け寄り。 「ゆうま?!あなた学校はどうしたの?」 息を切らしながら、目を見開き驚いている母の表情を見て、僅かに安堵する。 カップに注がれたお茶をクピクピと含み息を整えて祐真は母に先程の事態を報告する。 「しらない『がいじんさん』がお父さんの友だちだって、家をおしえてって」 「……それは、緊急事態ね」 『エリヤ』こと紅月未来に友達と呼べる存在はいない、それは家族にとって周知の事実。 「それで、その人はどうしたの?」 「かるくして、ドーンってしたら飛んで行ったよ」 「あらあら、それはそれで…大丈夫かしら」 「とにかく、お父さんに連絡するわね」 母、恵光は携帯を片手に未来へと連絡を取りながら祐真の頭を撫で付け、我が子が無事であった事に安堵の溜息を漏らす。 そして、母が未来との電話を終え祐真に眼を向けた刹那。 「なかなかァ、良い家に住んでぃるなァ……」 痩せ型のブロンド、不気味な雰囲気の漂う碧眼の双眸。男は祐真の首を鷲掴みにして、いつの間にかそこに佇んでいた。 「お、かあさん、にげて…」 「ガキィのくせに、とんでもなィ力使だァ…おまえは、危険だなァ?」 苦悶の表情で恵光を逃がそとするまだ幼い我が子の悲痛な叫びに、恵光は。 「お母さんは絶対にゆうまを置いて逃げたりしません、あなた…どちら様ですか?息子を返して下さい」 冷静に、感情を極限まで抑え祐真を奪還する隙を伺いながら相手の様子を探る。 「このォ状況で、取り乱さないとは…大した女ァだ」 顔の半分まで裂けた口元で薄気味の悪い嘲笑を浮かべ、こちらを愉快そうに眺める。 はっきり言って目の前の男は異常だった……直感が、本能が警鐘を鳴り響かせている。 恵光とて紅月未来の嫁、護身の意味合いから多少の武術は未来に仕込まれている。その辺の人間相手ならばそれなりに善戦出来たであろう、しかし『これ』はそういうレベルの相手では無い……人外の化け物だと、直感が告げていた。 「一応、とんでもない夫を持つ身なので……夫に御用向きがおありでしたら、もうすぐ帰って来ると思いますが?」 「はは、そうだなァ……用事ィがあるのは、エリヤだ……だが、わかるぞ?女ァ…必死だなァ?どれだけ取り繕っても息子を取り返したくてェ、焦りと恐怖で押しつぶされそうなんだろォ?」 恵光は男の発言を受け焦燥の表情を顕にする。最悪とも表現すべき人外の脅威が最愛の息子をその手で掴んでいるのだ、発狂して感情的に喚き散らしてもおかしくは無い。 しかし、恵光は冷静に努めた。最愛の息子を守るため…今自分が出来る事……『未来』が来るまでの時間稼ぎ。 「そうですね、あなたの仰る通りです。懇願すれば情けをかけてくださるのですか?」 「はァははっ!賢い女ァだな?心配するな……エリヤが来るまでは殺さない。アイツの絶望する顔が見たァいからなァ……」 男は虚空に視点を彷徨わせながら、下卑た笑みを浮かべる。恵光が僅かに目線を祐真へ向けると、恐怖と首を鷲掴みにされている痛みから苦悶の表情を浮かべている。 「でしたら、どうかお願いします。最後の時間……せめて息子の側に行かせてはもらえないでしょうか……もちろん拘束して頂いて構いません…息子にも余計な手出しはさせませんので」 恵光は内心強く歯噛みしながらも、深々と頭を下げ懇願する。 「フンっ喰えないィ女だ……ほら、受けェ取れっ」 男は恵光に向かって祐真を放り投げ……恵光は我が子をその腕に抱き締めんと動いた瞬間。 「……お前ェみたいな…女が一番嫌いなんだよ」 男の周囲から黒い手が出現し、宙に浮く祐真の胸を穿つ––––––。 「くぅっ………」 ドサっと床に落ちた祐真。 「お、おかあさん……おかあさん!?」 祐真が視線を向けた先に見た光景は、胸を黒い腕に貫かれながらも最愛の息子を愛おしそうに見つめながら微笑む母の姿。 「やっぱりなァ?庇うよなァ?大切な息子だもんなぁあ?ァははははははははっ」 「おい、ガキィ?母親死んだぞォ?お前のせいで、お前のせいだよォ?お前がクソガキだから」 滂沱の涙を流しながら咽び泣く祐真、母はぐったりと首を落としピクリとも動かない。 「おかあさん……おかあさん、おかあさん…おかあさん、おかあさん」 繰り返し、ただ呆然と立ち尽くして愛しい母を呼び続ける。 嘘だ…こんなの、嘘だ……全部無くなればいい……あの男も、おかあさんが痛いのも、全部… 恵光からの連絡を受け、胸騒ぎを覚えた未来は急ぎ自宅へと戻った。 なりふり構わずその『力』を最大限駆使して、空間を繋ぎ、空を蹴り…駆け抜けた…愛しい家族の待つ我が家へ。きっと何もない、可愛い息子が変質者にやり過ぎてしまったのだろう…… 今頃は恵光に注意を受けながら、小学校を初日でサボった事を自慢しているに違いない。 帰ったら、思い切り褒めてやろう……変質者を撃退して、真っ先に母の元へ駆けつけた優しさを……その強さを、褒めて、抱き締めて。一緒に恵光から叱られよう。 そして今日も三人で仲良く恵光の作った料理を食べ、祐真とゲームの続きを遅くまでするのだ。 大丈夫、きっと…… 未来は言い聞かせていた、ただひたすらに自身に言い聞かせながらその足を急がせ。 玄関を開け放ち勢いよく飛び込んだ。 「やぁ?遅かったねェ?エリヤ兄さん?」 それは……最も聞きたくない声…最もいて欲しくない人物の出迎え。 あの時、自身を嵌め、大切な物を全て奪い取った最悪にしてただ一人の弟。 『エリヤ』は理解していた、正しくは理解させられていた。 あの時、何が起きていたのか…目の前に何故か現れた唯一の肉親たる弟が、異形の存在と化し両親を殺め、自分を陥れ……最愛の女性を奪いとるその姿が、あの日神の光に焼き尽くされる瞬間…その映像が流れ込んできた。 故に、その姿を目にした瞬間……怒りが心を支配する。しかし、直ぐにそれは絶望へと。 「恵光……」 返事はなかった、瞳から光を無くし人形のように力なく宙に吊るされた妻が、しかしその表情は慈愛に満ちていて……ある一点を虚無の瞳が見つめている。 「ゆうま、無事か!?ゆうま!?」 家の中に入り辺りを見回すと、恵光の虚ろな視線が向かう先に、壊れたように母を呼ぶ祐真の姿があった。 「恵光、よく頑張ったな…一人で、おまえは祐真を守って……」 唇を噛み締め血を滴らせながら、祐真を庇い戦ったであろう恵光を思い浮かべ。 「すまない」 激しい痛痒が胸を引き裂く。 「アレク……アァレクウゥッ!!」 その眼光を血走らせ、異形となった弟へ肉薄し、その首を刎ねるべく虚空より取り出した漆黒と純白の双剣が閃光を纏いアレクの首筋を一閃。 「聖霊器を手にィした者がァ更にその高みに至る時手にすゥる力『星々の加護』その祝福を受けェし者が授かる叡智の理、アストラルアビリティ……ひひひ、はぁはははは」 未来の放った剣撃を身をよじって躱し、余裕の笑みを浮かべながらアレクは彼の力について語り、怖気立つ様な高笑いを立てる。 「恵光を返してもらうっ」 「酷いなァ兄さん、最愛ィの弟を斬りつけておいて、こんなァ骸の心配?」 双剣を頭上から振り下ろし、真横から振り払い。アレクの頭を胴体を、しかしその斬撃は虚しく空を切り裂くだけで最悪の弟には届かない。 「ジェミニの双剣…愚鈍な兄さんには勿体ないから、僕が貰ってあげるよ。その前に、軽く絶望してくれる?」 粘着質で耳障りな喋り方を一変させ、明瞭で柔らかい口調。それはかつての弟であり、兄を追いかけ続けた狂気の成れの果て。 「俺の弟は、もう死んだ––––––」 吊るし上げたままの恵光に一瞬視線を向けた隙を突き、肉薄する。 その双極の刃が左右から、完璧にアレクの首筋を捉えた。 「なぁんちゃって」 新たに出現した黒い手が立ち尽くす祐真に向かい一直線に伸び。 「これ以上、奪わせるか」 双剣を盾にし寸前の所で軌道を逸らし祐真の前に立ちはだかる。 「おとうさん、血が……おかあさん、いっぱい血が…うっうぅ」 「祐真、お母さんは直ぐに取り返す、だから––––」 「やってみてよ、できィナァいけェどなァ?」 そう言い放つと同時にアレクの背中から膨れ上がった黒い膜の様な球体がその顎門を大きく開き、恵光を咀嚼した。 「えみいぃぃ!!」 地を蹴り、双剣を振りかぶりながら距離を詰める未来の眼前に無数の黒い手が出現し、その行く手を遮る。 その咀嚼する姿を見せつける様に恍惚な表情を浮かべ狂気に口元を歪めたアレクが二人を睥睨し。 「あはァッ滑稽だなァ?哀れだなァ?無力だなァ?兄よ、エリヤよ、背信の王様よォ」 「今から、証明してあげるよ。僕が兄さんよりどれだけ優れた存在であるか」 恵光を完全に咀嚼し終えると同時、その場を凄まじいプレッシャーが襲い、空気が一変する。 「––––––?!」 先程までの余裕は消え、焦燥感を顕にするアレク。それは未来も同様で。 「ゆうま?」 そのプレッシャーは未来の背後に小さく佇んでいた少年から放たれ。 「おかあさん、食べちゃった」 「おかあさん、おかあさん、おかあさん」 その瞳から光が消え、虚空を見つめる少年の表情からは完全に色が抜け落ちた様だった。 そんな少年の頬を一筋の雫が溢れ落ち。 「いらない、いらないいらないいらない」 「ぜんぶ、いらない。バイバイ、バイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイバイ」 それは、呪詛の様に連なり全てを拒絶する。祐真は全てを無かった事にしたかった。 母の痛みも、不気味な男も、傷付く父も……食べられる母親の姿も。 「ゆうま、落ちつけ!力が、暴走している」 祐真を基点に周囲の空間が歪み、亀裂が走る。漆黒の渦が部屋全体を覆い尽くし、ありとあらゆる物質がその原型を崩しながら渦の中に呑まれ。 「なんだァこの力は?!空間が、俺ェノォ僕のォ存在が消え、きえ––––––」 アレクは瞬間、世界から存在を消し去られ。 「ゆうま?!もう、終わった!落ちついてくれ、ゆうま!このままじゃお前まで、お前まで失いたくないんだ、ゆうま…ゆうま」 壊れた人形の様にバイバイと口にする祐真を強く抱き寄せ、溢れ出る滂沱の涙で息子の頬を濡らす。 祐真は世界を拒絶し続け、やがてその渦は空間さえも呑み込み始める。空に亀裂が入り、景色が歪み、時を遡りながらこの世界の全てを無かった事に––––。 そして世界はその力に抗うよう時の流れを再構築し始める。 世界の起源を拒絶した祐真はその根源を無くし、祐真に至るまでの系図が消滅する。 故に、その存在は無かった物として世界から。 「させるかよ、俺は消えない。恵光も、祐真も絶対に消させやしない」 未来は我が子を守るように覆いかぶさり、その力を行使する。 再構築を行う世界の時と拒絶する祐真の力が干渉し空間は完全に混沌と化し歪みを生み出し続け、やがて。 そこには、未来と消えかけた祐真だけが取り残されていた。 全ての形ある物は消え去り、命は無くなり。 虚無。何一つ存在しない、何の概念も存在しない空間。 ただ世界の理を初めから逸脱していた未来と全てを拒絶した祐真だけ……… しかし根源を無くした息子はただ虚しく存在を消して行き。 「ゴメンな、祐真…お母さん、守ってやれなくて。祐真は必死に守ったんだよな?偉かったぞ」 「––––––」 全てを拒絶した祐真を決して父は責めなかった。寧ろ誇りたかった。命をかけて母の死を拒絶した息子をただ抱きしめて、褒め続けたかった。 「祐真、これからはずっと側にいる。お前を一人にはしない。絶対に消させやしない」 虚無の世界に再び亀裂が走る。世界は拒絶された時を再び再構築し始め…… しかし、新たに構築されるのは拒絶された世界とは違う祐真の存在しない世界。 「時間が、ないな」 未来は、その力を解放する。 祐真の様に命を、霊魂をかけ、二度と生まれ変わる事の無い存在となるべく。 どうすれば良いかは、自然とわかっていた。 エリヤは虚無の空間を固定し、再構築される流れから切り離すと、自身の肉体から霊魂を祐真の身体へと流し込み定着させる。 未来であった肉体は滅び消え去った。 そして、自らの霊魂を媒介に祐真の砕け散った霊魂を繋ぎ修復していく。 元々この世界とは異なるセカイのエリヤは、起源を失った世界でも消滅する事はない。 祐真の身体に定着することで、祐真の存在を世界に留めた。 そして、祐真の粉々になった心を繊細に繋ぎ合せて行く……人智を超えた情報の処理。 虚無の空間を漂いながら、ただ愛する我が子の存在を守る為に。 どのぐらいの時が経ったのか、世界はどうなったのか… 何億という、か細い糸の先端を寸分の狂いもなく繋いでいく様な……常軌を逸する行いは、何度となくエリヤの精神を蝕み削る。 再構築した心は、霊魂は、人格は…祐真なのか、祐真と呼べる存在なのか、否、それはもう別の存在であり…… そんな事は分かっている、身勝手な行いだと言う自覚もある。 しかし縋らずにはいられなかった、天文学的な数値だとしても…その可能性を信じて。 『祐真』と言う新たな霊魂が確立した時には、隔離した空間で百年余りの時が流れていた。 しかし、祐真の肉体の時は静止したまま。 エリヤはその霊魂に人格を構築……自らの経験を元に、祐真の将来を想像し繊細に記憶を紡いでいく。 祐真の存在が消えた世界でも、違和感を感じる事なく暮らしていける様に。 一人でも生きていける年齢まで、肉体の時を進め……だが、祐真が『個』として目覚める事は無かった。 神の領域を侵した自身への罪……そして、愛に焼かれ、抜け殻の様に生と死を繰り返し、最愛の家族を無情にも奪われた哀れな存在は……もう、祈ることしかできなかった。 自分の全てと引き換えで構わない……この魂など、どうなってもいい…ただ…この子を生かしたい。恵光が命がけで守ったこの命を……俺たちの……命よりも尊いこの子に…生きて欲しい。 突如としてそれは起こった、虚無の空間に亀裂が入り……『エリヤ』の意識が遠退いていく。 淡い光がその身体を包み込み……『紅月祐真』と言う存在が再び世界へと…… 『まだ…まだ消えるわけにはいかない……』 最後の力を振り絞り、概念に干渉し祐真と言う存在を世界の流れに組み込む……平凡で…穏やかな日々を願って。 『祐真……お母さんの思い出…残してやれなくて、ゴメンな……幸せに、なってくれ……』 エリヤはその意識を手放し『祐真』の中で深い眠りについた––––––。 ギデオンは『エリヤ』の話を静かに聞き終えると。 「エリヤ殿……黒…とは、もしや……」 「あぁ、自分でも信じられないが、あれは『祐真』だ」 「白も『祐真』である事に変わりは無いが、俺の魂を媒介に創り出した新しい人格……」 「………」 「祐真の魂は、『何か』の干渉によって蘇った……そうとしか、考えられない」 エリヤは視線を漆黒と純白の青年二人に向け……その瞳は穏やかな温もりに満ちていた。 「ギデオン、アイツらの事……頼めるか?」 「……任された。我の全霊を持って貴殿の想いに応える事を誓おう」 「頼む、あんたが…居てくれて良かった……」 エリヤは穏やかに微笑むと、その姿を空間から消した。 目を細め、打ち合い続け満身創痍となりつつある二人の姿を見遣ると、ギデオンは徐に背中に携えた大剣を抜き放ち大きく跳躍する。 「お前の……レインに対する想いは、そんなものなのか…祐真」 肩で息をしながら黒は問いかける。 「うるさい、俺は……わからないんだ…どうしたらいいって言うんだよ!」 息を荒げながら白は叫ぶ。 「諦めるなよ!大切なんだろ?!それ以外の何が必要なんだ!」 「エリヤ……でも、俺かお前のどちらかしか残れないんだとしたら……」 「それでも…それでも俺たちは、お互いに譲っちゃいけないんだ!俺たちは誰からも…何者からも……二度と奪われるわけにはいかないんだ!」 身体の奥底からこみ上げてくる熱い感情が叫んでいる、二人のどちらが欠けてもそれは間違っているのだと直感的に本能が訴える。 「祐真……生きよう、二人が同時に生きていける道は…絶対にある……自分が何者かなんてどうだっていい、俺たちを……想ってくれる人……大切な人の為に…生きよう」 「エリヤ……俺は––––––」 瞬間、頭上より迫る巨躯に気が付いた二人はその場を飛び退く。 「話し合いは終わったか?では……散れ」 凄まじい轟音と共に降り立ったギデオンがその大剣を掲げ二人を睥睨し言い放つ。 鋭い眼光は見るものを畏怖させ、声を出す事すら躊躇われ––––––。 「ぎ…でおん?なん––––」 白が振り絞った声で言い終えるよりも速く二人に肉薄したギデオンは、その膂力のままに大剣の腹で白を思い切り撃ち払い。 「ぐぅあっ––––––」 「祐真?!」 後方に吹き飛んだ白に目を見開いた刹那、眼前に突如として現れた巨躯は上段から大剣を振りかぶった––––––。 リリスとレインはただ、唖然としていた。 視界の端では今まさに、悍ましい異形の化け物をエステルが炎を纏った拳で殴り飛ばし、アルベルトがタイミングを計って風の刃で切り裂かんと攻撃を繰り広げている最中。 そんな攻防が繰り広げられている局面で、二人は明後日の方向へ首を向け目を見開き。 「……あなた、誰?」 「そうです!えりやくん達はどこですか?!」 先程まで、エリヤと祐真がいた場所に眩い光が現れたと思った瞬間。そこにはブロンドの無造作な髪を風に揺らし、鷹のような眼光をレインとリリスに向ける一人の美丈夫が立ち尽くしていた。 「よぉ、リリスにレインだな、俺は……未来だ、紅月未来…宜しくな」
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