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第十五章 未練
“ふうん。”
望は元彼のアキヒトのことが本当はまだ好きだった。
一人暮らしをしていると聞いていたし、
多忙だと言っていたので他の女の気配は無いだろうと
思い切って大阪まで追いかけてきたのだ。
彼の性格のことだ、ここまで押しかけてきたら
なし崩しに何とかなるだろうと甘い気持ちだったのだが。
彼の仕事場で働くほかのスタイリスト達を見たとき
目測を誤ったと思った。
ルックスのレベルが違う。
アキヒトも、都会のレベルに合わせて
九州にいた頃よりも洗練されていた。
少々悔しくて、彼女はちょっぴり意地悪をしてやろうと思う。
『桜井遥』と言うスタッフが自分の担当だと聞いたとき
アキヒトの顔が少し照れくさそうな表情になったのを見て
彼女はひらめいた。
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