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第二十章 カモナマイハウス!
「話って何?」
店を出る前にハルカさんから聞かれて、
アキヒトは“タイミングが早すぎる!”と、内心焦っていた。
「飯でも食いません?」
誘ってみる。
「何?おごってくれるの?」
彼女の顔に“薄給のクセに”と書いてあって
彼は少々ムッとした。
「どうせ金は無いですから、たいしたものもおごれませんし
ここは一つ俺の手料理でもどうですか?」
「料理できるん?自分。」
びっくりしたように言われる。
自慢じゃないが、アキヒトが女の子をゲットする能力と
美容師としての技術以外で
人より優れているものがあるとしたらそれが料理だ。
食べた事のあるものなら、大体再現は出来る。
月膳の料理も完コピーとは言えないが、
かなり近いものなら作れるようになっていた。
「まあ少々は自信ありますよ。
佐藤さんほどじゃないけど、あの店にだいぶ近づけたつもりです。」
「ふうん。」
と彼女は言った。
「で、今からアッキーの家に行くん?」
少し警戒した表情だった。
下心を見透かされたかと思い、アキヒトは慌てる。
「いや、ダメだったら他のプランを考えますよ。」
そう言うと、
「別にええよ。行っても。」
と返された。
チラリと彼女の顔を見ても、その表情からは何も読み取れない。
“相変わらず分からない人だな。”
と思いながらも、自宅に連れ込みさえすれば
どうにかする自信はあった。
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