第五章 アブナイ噂?

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第五章 アブナイ噂?

オーナー店長の亀井さんも、 副店長でチーフの桜井さんも腕は確かで 何百人も指名客を抱える多忙な人だ。 大きなお店なのでその下にもスタイリストは何人もいる。 お店自体は3階建ての立派なビルだった。 1、2階は通常の店舗だが、3階の個別のレンタルブースでは 時間制でのレンタル業を行なっていて たまにお客を取りたいと考えている 個人のスタイリストに貸し出ししているのだ。 亀井店長はカッコよくて腕がいいだけではなく、 経営もやり手のかなり凄い人だった。 ただし・・・・・・ 業界の先輩や友人から聞いてきた噂がどの程度本当なのか? 彰人はそこまで考えて、緊張していた。 “亀井先生、腕も良くて超イケメンだけど、ガチのホモらしいよ。” このご時勢だし、美容師には多いらしいと聞くし、 取り立てて差別する気も、無い。 無いのだが 『店に所属した男のスタイリストは必ずオーナーに食われるらしいよ。 だから顔で採用してるらしい。 断ったヤツは出世できないか、店を辞めさせられるんだってさ。 せいぜい頑張れよ。』 と、悪友に少々意地悪に言われた時は、さすがに変な汗をかいた。 実際亀井先生が色気たっぷりの美男子で ため息が出るほど美しいから、 なおさら始末が悪い。 でも、と桜井さんの顔を思い浮かべる。 あんな美女もいるのだ。しかも副店長兼チーフである。 “噂なんてどうせただの噂だ。” アキヒトはそう思い、自分を納得させていた。
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