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第七章 からかい上手のハルカさん
桜井さんはみんなから“ハルカさん”と呼ばれている。
亀井店長だけは「ハルカ」と呼び捨てにしていた。
可愛い系の美人で
とても人目を引くが、私生活は謎めいている。
年の頃は20代後半のアラサーだと思うのだが、
時々10代の子のように幼い笑顔を見せていた。
ストレートの髪は自毛で
どんなパーマをかけてもすぐに戻るのだという。
なので色で遊びを加えようと、
かなり明るいミルクティー色に染めていた。
人形のようでとても似合っている。
男性ファンが多く、携帯番号を良く手渡されているが、
見かけるたびにアキヒトは気が気でなかった。
「モテるんですね。」とアキヒトが言うと
彼女はいたずらっぽく笑う。
「そうでもあらへん。本命にはさっぱりやで。」
少し色っぽく見つめられ、アキヒトはドキッとする。
じっと見つめられているうちにだんだん赤くなってきた。
そんな彼を見てハルカさんはクスッと笑った。
「可愛いな、自分。」
からかわれたのだと分かり、頭に血が昇る。
「ハルカさん!!」
「ごめんごめん、冗談が過ぎたわ。」
彼女はそう言うと、仕事に戻る。
悔しいけれど、アキヒトは彼女に惹かれていた。
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