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私の名前は『香原 澪(かはら みお)』、私が小学校6年生のある日のこと、この日季節は11月で少し肌寒い日だった。
いつものように6時間目の授業とホームルームを終えた後、掃除係だった私は教室の掃除をしてから帰ることになった。
私は掃除を終えて担任の先生に報告を終えると、自宅に帰るために校舎の下駄箱で上履きから外履きに履き替えて玄関を出ようとすると雨が急に本降りになっていて、傘を持っていなかった私はどうしたものかと立ち尽くしてしまった。
その時、一緒に掃除係をやった『司波 優輝(しば ゆうき)』君が私の近くに近寄ってきて、何も言わずに私の目の前に傘を突き出した。
私が、
「えっ」
と言ってためらっていると司波君が、
「ほら」
と言って、さらに私の目の前に傘を突き出してきた。
私が傘を受け取ると、司波君は何も言わずに校門に向かって雨の中を濡れながら走って行ってしまった。
「ねぇ、濡れちゃうよ!」
私は司波君に向かって大きな声を出したが、司波君は何も言わずに走って行ってしまった。
私は司波君から渡された傘をさして、とぼとぼと自宅に向かって歩き始めた。
この日の雨は強くて、傘をさしても足元が濡れてしまうほどだった。
自宅に帰ると玄関で母から、
「お帰り!
その傘どうしたの?」
と聞かれたので、
「司波君が貸してくれた。」
と答えた。
「ずぶ濡れだね!
ちょっと待ってて!」
と言って母が奥の部屋からタオルを持ってきてくれたので、私は濡れた靴下を脱いで足元をタオルで拭いてから家に上がった。
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