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「絵里香(えりか)先輩!」
廊下から聞こえた声に自然と意識が声のする方向へと向かう。
「.......絵里香」
絵里香とは、幼なじみ。
俺の家の隣に住んでいる絵里香とは、幼い頃からよく遊んでいた。
そして、そんな近くにいる絵里香のことを女の子として意識して、好きになるまでに時間はかからなかった。
もう、何年になるかわからないくらい、ずっと絵里香のことが好きだ。
「えーりか、帰ろ?」
「蒼(そう)くん!」
絵里香の顔が幸せに満ちた表情に変わっていく。
「たった1年違うだけなのに、その差は大きいよな.......」
俺はそんな2人に背を向ける。
「あれ?丈?」
「あー、兄ちゃん」
作り笑いを浮かべて、ふたりをみる。
「部活、終わった?」
「うん、終わったよ」
「俺ら帰るけど、お前も一緒に帰るか?」
「ううん、約束あるから」
俺は2人に軽く手を振って、更衣室へとはいる。
絵里香は、兄ちゃんの彼女だ。
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