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「あぁ.......、めっちゃアプローチしてるとかいう.......」
前にトラから聞いたことがあった。
「ちょ、お前丈にバラしてたのかよ」
「いーじゃん。しょったにとっちゃ初恋みたいなもんだろ?」
「いや、なにがいーじゃんなのかわかんねーし」
トラから写真を奪いとる。
「好きな女か.......」
その言葉で俺の頭に浮かび上がるのはもちろん絵里香。
「丈、お前.......絵里香のこと考えてんだろ?」
「あー、まぁな.......」
トラもしょったも俺の気持ちはわかってるから、素直に認める。
トラとしょっただけじゃない、兄ちゃんも絵里香も俺の気持ちはわかってる。
「蒼兄の彼女なんだもんなー」
「うん」
「丈はもったいねーよな。モテんのに」
「別に他の女にモテても仕方ねーよ」
これまで何人かに告白はされてきた。
付き合ってみれば、忘れるかなとも思ったけど、付き合うという判断をすることすら無理で。
「羨ましいな、しよったが」
「え?」
「好きなやつに、好きだってアピールできて」
俺も、いつかそんなふうにアピールできる相手が現れるんだろうか。
「全然相手にされてねーけどなー」
「はは、応援するよ」
この時は、しょったの気持ちがいつか叶うといいなって、本当に思ってた。
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