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「なぁ、丈ー。まちゃが呼んでる」
「えー?なに?」
誰の輪にも入らず、自分の席でスマホをいじっていた杉森くん。
「いいから、早く来いって」
杉森くんの腕を引っ張って、彼を立たせる。
「.......まちゃ?わざわざなに?」
元々トラがいた席に怪訝な顔で現れた杉森くん。
「あ、あたしじゃなくて!ほら!」
まちゃがあたしに向かって手招きをする。
「うげー.......」
杉森くん、自分の時間を邪魔されて迷惑そうだし、本当なら行きたくなかった。
でも、手招きされて無視するわけにもいかなくて。
「え、なに?」
向かっていったあたしに杉森くんの表情はさらに険しくなる。
「やしなが丈くんと話したいって!」
「ちょっと、まちゃ!そこまで言ってないって!」
あたしは、いまのこの距離感で満足だった。
好きな人のことを学校に来れば、毎日見れる。
それだけで満足で、それ以上のことなんかかんがえていなかった。
同じクラスの2年間で、距離が縮まればそれでいいって思ってた。
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