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「え!?もしかして、やしな丈のこと好きなのか!?」
空気の読めないトラのひときわ大きい声が教室に響く。
「ちょっと、トラ!声大きいって」
まちゃがトラの頭を叩く。
「あ、悪ぃ」
バツの悪そうな顔で謝るトラ。
「え、マジなの.......?」
そんなトラの隣で杉森くんの冷たいような声が響く。
「.......あ」
そんな杉森くんに、あたしは違うなんて言えなくて、とにかくゆっくりと頷く。
「.......へー」
杉森くんはどこか他人事のようにそう一言呟くと、ポケットから出したスマホを確認して、あたしたちに背を向けた
「.......え?」
あたし、いま告白.......みたいなことをした気がする。
それに対して、自分のことじゃないようなそんな表情の杉森くん。
「おい、丈。どこ行くんだよ」
トラの声に振り向いて「呼ばれてるから」と言って、教室から出ていった。
「あ、はは.......振られたのかな」
笑うしかないよ、こんなの。
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