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「.......絵里香」
絵里香からもらった「アソコに来て」というメッセージ。
俺の事を好きだとか言う女の子の言葉にも大した反応はできなかった。
「へー」なんて言って、失礼極まりないのもわかってる。
それでも、絵里香の言葉にだけは素直に従ってしまう自分がいる。
「丈ー!」
俺の顔を見るなり笑顔になる絵里香。
「まーた兄ちゃんと喧嘩?」
「.......うん」
「ったく、今度はなんなんだよ」
絵里香の表情は「兄ちゃん」という言葉を出すだけで簡単に崩れる。
いま、目の前にいるのは俺なのに、いつだって絵里香の頭の中には兄ちゃんしかいない。
「今日、蒼くんが一緒に帰れないって言うから」
「はぁ?小さな喧嘩過ぎんだろ」
毎回、毎回喧嘩をする度に呼ばれるけど、内容が些細なことすぎる。
「あたしにとっては重要なんだもん!それに、帰れない理由だって、クラスの女の子に教室で勉強教えてあげるからなんだよ?許せない!」
「兄ちゃんがモテるのなんて、今に始まったことじゃねーじゃん。なにをそんなにイライラしてんだよ」
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