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喧嘩する度に呼ばれて、こうして愚痴を聞かされて。
その度に、兄ちゃんのことが好きだと言われている気分になって。
それでも、絵里香の元に来てしまうのは、俺を頼ってくれているから。
「わかってるんだけどさー、ほら.......去年からクラス離れちゃったじゃん?蒼のこと、あたしより他の子が見てる時間が長いのが嫌なの」
「とんだ独占欲だな」
口ではこんなことを言いながらも、そんな絵里香のことが可愛いと思う。
俺が絵里香の相手なら、たとえクラスが違えど不安にさせるようなことはしないのにって思う。
実際は、俺に彼女がいたことなんかないからわかんないけど。
「あーあ、丈のこと好きになればよかったな」
「はぁ?」
「だって、丈は一途でしょ?」
「.......っ、兄ちゃんだって一途じゃないわけじゃねーだろ」
絵里香は「俺のことを好きになればよかった」だなんて、言うけど、実際に好きなのは兄ちゃんのことだけで。
俺の事なんかこれっぽっちも頭にはない。
俺のことを一途と言うのも、俺がずっと絵里香のことを好きなのを知ってるからで。
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