出来心=JYOU=

5/8

159人が本棚に入れています
本棚に追加
/307ページ
「えー、紹介してよ!」 「嫌だよ、紹介なんてしねーよ」 そんな子、いないんだから。 紹介なんてできるわけがないんだから。 「えー?いいじゃん、ダブルデートしよう?」 「デートって.......まず、付き合ってすらいねーんだけど?」 「丈なら付き合えるって!ね?」 絵里香が小指を俺に差し出す。 「なんの、小指だよ」 「ん?紹介すること、約束。ね?」 「.......はいはい」 絵里香の小指に自分の小指を絡める。 「指切った!」 させられてしまった約束に内心「参ったな」と思いながら、俺の頭に浮かんだのはさっきの教室での出来事。 俺のことを好きだと頷いたあのしょったが好きな女の子。 俺は、あの子のことを利用して絵里香のことを忘れてしまおうだなんて、最低な考えを持った。 自分のことを好きな女の子に興味がないわけではない。 だけど、好きになれるかなんて分からない。 絵里香のことを好きだということでさえ、なかなか認められなかった俺が、ほんと少しだけ話しただけのあの子を好きになれるかなんて、わからない。 でも、好きになってみたいと思った。
/307ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加