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「えー、紹介してよ!」
「嫌だよ、紹介なんてしねーよ」
そんな子、いないんだから。
紹介なんてできるわけがないんだから。
「えー?いいじゃん、ダブルデートしよう?」
「デートって.......まず、付き合ってすらいねーんだけど?」
「丈なら付き合えるって!ね?」
絵里香が小指を俺に差し出す。
「なんの、小指だよ」
「ん?紹介すること、約束。ね?」
「.......はいはい」
絵里香の小指に自分の小指を絡める。
「指切った!」
させられてしまった約束に内心「参ったな」と思いながら、俺の頭に浮かんだのはさっきの教室での出来事。
俺のことを好きだと頷いたあのしょったが好きな女の子。
俺は、あの子のことを利用して絵里香のことを忘れてしまおうだなんて、最低な考えを持った。
自分のことを好きな女の子に興味がないわけではない。
だけど、好きになれるかなんて分からない。
絵里香のことを好きだということでさえ、なかなか認められなかった俺が、ほんと少しだけ話しただけのあの子を好きになれるかなんて、わからない。
でも、好きになってみたいと思った。
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