キミに出逢えた奇跡

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「湿っぽくなるだろーがー」 トラの言葉にボンッと頭を叩く。 「やしなちゃん、俺のボタンいらない?」 「いらない」 後ろからそんなことを言ってきた神谷くんに答えたのは、あたしではなく丈。 「丈に言ってないんだけど」 「俺の言葉はやしなの言葉でもあるから。な?いらないよな」 「うん。いらないかな」 「くそー、じゃあネクタイ交換しよ?」 今度はネクタイを差し出してくる。 「え?それだと丈のと交換することになるよ?」 「うわー、もう交換済みかよー」 「当たり前だろ、ばーか」 うちの学校には、ジンクスがあって、ネクタイを交換したカップルは永遠に一緒にいられるって。 「やしな、学校1回入ろうか」 丈に手を握られて、一緒に校内に入る。 「どこに行くの?」 「ここ」 丈に連れられてきた教室には「2-1」と書かれている。 「.......ここ」 あたしと丈がはじまった場所。 「俺ら、ここからだったよな」 「あたしは、体育館だけどね」 「顔、知らなかったくせにな」 あたしの鼻をつまむ。
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