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「ねぇねぇ、さっきからやしなちゃんに耳打ちしてるけど.......もしかしてトラの彼女!?」
どこに行ったかもわからないあの子のことを探して、ウロウロしていたとき、絵里香のそんな声が聞こえた。
「ちげーよ、トラの彼女じゃない」
トラでもあの子でもなく、俺が答えた。
もちろん、誰の彼女でもないわけだけどなんとなく、俺が言いたかった。
そこでトラが「俺は好きだけど」とか、そーいうふうに言うんじゃないかと思ったら柄にもなく焦ってしまった。
トラが何かを言うことで、あの子の心を持ってくのがすごく嫌だった。
「え、杉森くん.......?」
まさかの俺の登場にビックリしている様子の彼女。
「え!?トラじゃなくて丈の彼女!?」
また彼女に向かって、キラキラした目をみせる絵里香。
「ち、違いますよ」
絵里香にマジマジと見られて、戸惑っている様子。
「おい、困ってるだろ。やめとけ」
絵里香の腕を引っ張って、彼女から引き離す。
「だって、丈が前に言ってた好きな人、知りたいじゃんー!」
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