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｢え？丈、好きな子できたの？｣
兄ちゃんが｢へー｣と驚いた顔を見せる。
｢ここでその話はやめてくれよ｣
好きになろうとした本人はいるし、好きな人本人もいるし。
なにより、好きな人の彼氏である兄ちゃんもいる。
｢あ、あの.......教室に戻ります｣
突然、そんなことを言い出して、階段をおりていく。
｢え？どうしちゃったの？なんか変なこと言ったかな？｣
絵里香が心配そうな顔になる。
｢ええ、俺またなんかしたか？｣
｢いやー、色々とわかっちゃったんじゃね？俺、様子見に教室戻るなー｣
ふぅっと一息ついて、トラが階段を降りようとする。
｢トラ、俺に行かせてくれないかな｣
｢.......え？｣
俺の言葉に怪訝な顔になるトラ。
｢俺が行きたい｣
｢待てよ、期待だけはさせないでやって欲しいんだけど｣
トラの眉間にシワがよる。
｢いいんだよ。期待してもいいんだから｣
｢.......は？お前、いつの間にやしなのこと.......｣
トラの目が大きく開く。
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