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「でも、好きになってからずっと見てたから恋をしているかしてないかはわかるよ。それがあたしじゃないことも」
杉森くんの好きな人の話なんて聞きたくなくて、あの場から逃げ出したあたしをなぜか杉森くんが追いかけてきてしまった。
そんな杉森くんに、好きな人がいることもなんとなく見ていたらわかるし、もちろんあたしじゃないことだってわかってる。
「.......そ」
──キーンコーンカーンコーン
そんなあたしの言葉を聞いた杉森くんが何かを発しようとした瞬間に、昼休みの終わりが告げられる。
「.......戻るか」
言葉の続きを言うわけでもなく、そのまま教室に向かって歩く。
杉森くんがなんで追いかけてきたのか、何を言おうとしていたのか。
全てが気になって、足が動かなくなっているあたし。
「はやくしねーと、先生きちゃうぞ」
あたしのことをチラっと見る。
「戻らなきゃ.......」
さっきの杉森くんは、なんだか必死でいつもの杉森くんとは違った気がする。
でも、それについて知るすべもないし、諦めて教室へと向かう。
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