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「あれ、ふたりは知り合いなんだ?」
「この前、昼休みにあっただけだよねー」
「は、はい!」
なんとなく、杉森くんに似ている顔と声。
背格好も似ている。
そんなお兄さんに、ドキドキしないわけはなかった。
「やしなちゃんって、丈が好きな子でしょ?」
「.......え!?違いますよ!それは人違いですね!」
お兄さんから突然出てくる言葉に戸惑いはなくならない。
「そんな慌てて否定しなくてもいーよ」
おかしそうに笑う。
「あれから絵里香がやしなちゃんのことが絶対好きだって毎日言ってんだよな」
屈伸をしながら、そう話す。
「それは、絵里香さんの勘違いですよ。」
「なんで?」
「そんなわけはないですもん」
「もう、いいから。そんなわけはない!ばかり言わないの!」
ポンっと光があたしの頭を叩く。
「そうだ、家はいる?」
お兄さんが家を指さす。
「いくいくー!」
だいぶ乗り気で構わず返事をしている。
──ガチャ
「なにしてんの、そんなとこで」
家のドアが空いて、聞こえてきたのは好きな人の声だった。
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