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「丈ー、蒼くん帰ってくるまで相手してよー」
俺の部屋に絵里香が入ってくる。
「ノックくらいしろよ」
「いいじゃん。何回も入ってんだしー」
「年頃の男なんだって、俺だって」
読んでいた本を引き出しにしまう。
「なになに、何読んでたのー?」
「な、なんでもいいんだろ!」
絶対に見つかったらからかわれるのが目に見えているので、しまった引き出しを開けられないようにガードをする。
「ふふふ、こうしてやるー」
絵里香の手が俺の脇腹を攻め立てて、あっさりと俺のガードははずれてしまう。
「で?へー.......なるほどねー」
引き出しをあけて、中を確認した絵里香はニヤリと笑いながら俺を見る。
「な、なんだよ.......」
「こんなの読むくらい焦ってんだ?」
引き出しの中からさっきまで読んでいた本をとる。
「うるせーよ」
俺が懸命に読んでいた本、それは「恋愛必勝法」について色々と書いてる本。
俺だって、こんな本に頼るくらい焦ってるなんて自分でも思ってなかった。
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