159人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、蒼くんの声!」
絵里香が窓へと駆け寄る。
「.......はや」
俺には全然声なんて聞こえてなかった。
愛があればなんとかとかいうやつか。
「あれ?ねぇ、丈!見てよ!」
絵里香が俺に向かって手招きをする。
「.......なんだよ」
しかたなく、腰をあげて、窓へと向かう。
「ほらっ!」
「.......っ」
窓の外には、兄ちゃんと話す光とやしなちゃん。
「.......なんで」
光はここが通り道だからいるのはわかる。
「やだな」
また兄ちゃんに取られる、だなんて黒い感情が襲ってくる。
「いこうよ。ほら」
「.......マジかよ」
絵里香に連れられて、玄関へと向かう。
「なにしてんの、そんなとこで」
ドアをあけてそう言うだけで精一杯だった。
恋愛経験なんて、ほとんどなくて、どんなふうに女の子を扱えばいいのかなんて、そんなこと分からない。
「あ、丈。家にいたのか」
兄ちゃんが俺をみる。
最初のコメントを投稿しよう!