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「送らなくてよかったの?」
絵里香が俺をみる。
「だって一人で帰るって本人が.......」
「そんなの強がりだろーが」
兄ちゃんが俺の頭を叩く。
「いてーよ」
「もっと考えてやれよ。女の子の気持ち」
俺の髪の毛をぐしゃっと撫でる。
「.......んなの、わかんねーよ」
兄ちゃんと俺はひとつしか違わないのに、どこでどう違ってしまったのだろう。
俺が一年経って、兄ちゃんと同じように女の子の気持ちとやらを分かるようになるとは到底思えない。
「杉森って、やしなのことすきなの?」
「おわ!光!存在忘れてた」
こんなのどうやったって、もう誤魔化しきかねーだろ。
トラはもうほとんど知ってるようなもんだけど、ちゃんと好きだということは誰にも言ってこなかったのに。
「存在忘れるとかひどいし!まぁ、あんたがちゃんと言うまで黙っといてあげるから。頑張んなよ」
「頑張りてーなとは思ってるよ」
「あ、ちなみにモリーとは付き合ってないからね」
「.......まじか」
その事実を知って、思わず安堵のため息がこぼれる。
モリーと付き合っているからって、諦められるもんでもないし、友達の彼女を奪うとかにならなくてよかったと心の底から思う。
しょったのこともあるけど、でももう友達の好きな人だからといって引けないくらいにはこの想いは育ってしまってるから。
諦めることなんか、できない。
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