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「あん時は俺もビックリしたよ。やしな丈が好きだったはずなのに変わり身はえーなーって」
「おい、丈がいるのにそれ言うなって」
「あ、またやっちまったか。俺」
「トラには慣れてるよ。ほんと」
一年の頃からこの調子だ。
しょったがあたしのことを好きだと最初はひた隠しにしていたのに、トラがつい口を滑らせてしまったから。
いまでは、しょったもあんな調子だけど。
杉森くんのことをちらっと見るけど、自分の名前が出ていたのに涼しい顔をしている。
好きにはなってもらえないって分かってるけど、少しくらい興味を持ってくれてもいいのにと切なくなってしまう。
「2人は本当に付き合ってないんだね」
ずっと涼しい顔であたしたちのやり取りを静観していた杉森くんが、突然口を開く。
「え?」
「光に前に聞いたけど、すごい噂だったし光が分かんないだけかと思ってた」
「ちょっと、杉森?あたしの言葉信じてくれてなかったわけ?」
はぁっと光がため息をつく。
「その後も噂はなくなってなかったからさ」
ていうか、光はいつの間にそんな話を杉森くんにしていたのだろう。
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