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「地元の幼なじみだよ」
嘘はついてない。
彼は、幼なじみだ。
でも、好きだった人だなんて杉森くんに言えるわけがない。
「やしなちゃん、そういえば引っ越してきたんだったっけ」
「うん。中学からはこっちだよ」
あたしの中学入学と同時にこっちに引っ越してきたから、みっつの小学校から来ているみんなに最初は引き目があった。
あたしだけ、よそ者な気がしたし、大好きなタケと会えないのも嫌だった。
でも、仲良い人も好きな人もできた今は引っ越してこれてよかったって思ってる。
「なんか、ずっとこっちにいる気がするよ」
「ほんと?なんかそれ嬉しいね」
「前に住んでたとこは、ここからどのくらいかかるの?」
「車で6時間くらいだよ」
「うわ、それはなかなか会いに行けないね」
「うん」
いまでも、親戚の家はあっちにあるから行くことはあるかもしれないけど、引っ越してからいままではまだ行ったことはない。
「そのアイコンのやつに会いたい?」
「うーん、会いたいといえば会いたいかな?」
なんで、こんなことを杉森くんが聞いてきたのかはわからないけど。
あたしは正直に答えた。
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