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みんなもうすぐ行われる、宿泊学習に浮き足立っているんだ。
あたしだってそう。
杉森くんを好きになって、初めて1日以上一緒にいれるってことになる。
もちろん、デートとかそんな大それたもんじゃないけど。
たとえ、学校行事であっても、好きな人がそこにいるだけでそれは特別なものになるから不思議だ。
「やしなちゃん、これ見て」
黒板の文字だけは見ておこうと、目を向けているとツンツンとシャープであたしの腕をつついてくる。
「ん?」
杉森くんの声に、彼がさしてるプリントを見るとそこには小さな絵が書いてある。
「ちょ、やめてよ。笑っちゃうじゃん」
杉森くんが書いていたのは、いま1番前にいる先生の似顔絵。
頭がすこし.......いや結構寂しいことになってるそこを強調した絵だった。
いつの間にだろう。
こんなに杉森くんと話せるようになったのは。
リーダーになったからだろうか。
これが、光やまちゃでも杉森くんは同じように笑わせてくるのかな。
そう考えたら、胸がチクリと痛む。
想像しただけで嫌だなんて.......重症なのかもしれない。
でも、いつの間にか読んでくれてる名前。
みんなが名前で呼んでるからつられてなのかもしれないけど、それでもあたしは凄く嬉しかった。
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