159人が本棚に入れています
本棚に追加
/307ページ
何気なく、目をやると見たことのない男の子が座っていた。
「.......あ」
彼が机の上にポンっと置いたペンケース。
そこには「杉森」と書かれていて、思わず声が漏れてしまう。
「.......?」
あたしの漏らした声に反応して、ゆっくりとこちらを見る彼。
あの時は見えなかった顔がハッキリ目に入る。
この人が、杉森くん。
あたしが顔もよくわからず、バレーボールをしている姿にドキドキした相手。
「あ、光じゃん」
あたしへの視線から少しずらして、光を見つけると途端に笑顔なる。
「杉森。小学生以来だね」
光もそんな杉森くんに応える。
となりに座っているのが杉森くんだと認識した瞬間から、ドキドキが止まらない。
笑顔を向けられている光の事が羨ましくて仕方ない。
「あの、なにか用.......?」
ずっと杉森くんを見てるあたしに気づいたらしく、怪訝な顔をされる。
「あ、なんでもない.......」
慌てて、光へと視線をうつす。
最初のコメントを投稿しよう!