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「やーっぱりやめた!」
やしなちゃんがスクッと立ちあがって歩き出す。
「なんだよ、買わねーのかよ」
トラが呆れたように笑う。
「ごめんね、リーダーのくせに立ち止まっちゃって」
やしなちゃんが俺の隣まで申し訳なさそうにやってくる。
「え?全然そんなの気にしなくていいよ?買いたいものがあれば買えばいいし。見たいものがあれば見ればいいんだよ」
「ありがとう。なんか杉森くんにそう言われると安心できる」
ニコッとやしなちゃんが俺に笑いかける。
「.......あのさ」
なんとなく、今なら言える気がした。
「ん?」
「その、杉森くんって呼ばれんの慣れてないからやめてほしいな」
「.......じゃあ、なんと?」
キョトンとした顔をするやしなちゃん。
「トラたちみたいに丈でも、まちゃみたいに丈くんでも」
「あ、でも光は杉森だよ?」
「.......くんは嫌なんだよ」
なんだか、強敵が現れたような感覚になる。
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